野菜の不思議 

 春だというのに不安定な気候ですが、体調はいかがですか?この時期はホルモンのバランスも日照時間の変化とともに変化するため、十分な栄養と睡眠を心がけ、抵抗力をつけておきたいものですね。

よく、栄養についてまだ知識のない学生などに「食事に関して、お母さんから何かいわれていることはある?」と聞くと、多くの場合「野菜を沢山食べなさい」といわれるという答えが返っています。なぜなのかは分かっていませんが、なんとなく「排便」と関係しているのではと理解しているようです。また、女の子では「低カロリーだから痩せる」という捉え方が多く、そのため食事はサラダだけという人もいました。そして、栄養について興味のある人になると、野菜は「ビタミン、ミネラル源」と考えているようです。ここで、面白いのは、どれも当たっているところです!しかし、その情報は「各個人にとって、都合の良い」部分、つまり「いいとこ取り情報」となってます。栄養素には、それぞれ色々な働きがありますが、その効果を活かすには「使い方」あるいは、「食べ方」を理解することが大切です。つまり、「何のためにどうのように食べるか」ということです。

たとえば、「ニンジン」を例にとって考えて見ましょう。一般的に「ニンジンにはベータカロテンがたっぷりで、抗酸化作用抗や癌作用がある」という栄養情報を飼い主様は持っていたとします。すると、わがコの健康を願う飼い主様は「食事に取り入れよう」と考え、一番多くある例では「ゆでたニンジンを細かく刻んで」食事に混ぜます。すると、二つのことが生じます。まず、最初は便の中にそのままの形ニンジンを発見すること。そして便が柔らかい可能性です。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?実はニンジンの細胞壁は固く、包丁で切っただけでは細胞の中の栄養は身体の中に取り込まれないため、便の中に一緒に出てくるのです。つまり、肝心のニンジンの栄養も食べたものの消化管を通過したに過ぎなかったことになります。そのため、ニンジンの固い繊維が腸壁を刺激し、食べ物を先に送り出す腸の運動が早くなったために、身体に再吸収されるはずの水分も便の中に出てきてしまったわけです。さらに、ベータカロテンは脂肪にとけるタイプのビタミンなので、肝心の脂肪がないと身体の中に吸収できないのです。では、どうやって食べたら身体にニンジンの栄養素が吸収されるのでしょうか?最も身体に優しいのは、ゆでたニンジンを摩り下ろし、少量の無塩バター、または植物油と合わせて食べる方法です。但し、ペットフードのように、フード中に十分な脂肪が含まれているものは脂肪分と合わせる必用はありません。これで、抗酸化作用は体内で効果を発揮することができますね。

では、「便通」との関係は実際のところどうでしょうか?実は便通をよくするためには、「繊維質」のほかに十分な「水」が必要なのです。それは「食物繊維が水を吸う性質」にあります。食品である野菜は繊維のほかに90%以上が水分でできていることを考えると大変節理にかなっています。では、もし水が十分になかったら? そうです、押し流してくれる働きが無いので、かえって「便秘」になることがあるのです。これが、犬や猫が新鮮な水をいつでも十分に飲めるようにしておく必要がある理由です。精製された食物繊維を含むペットフードはそれだけ水が必要なのです。特に減量用フードなどは食物繊維が大量に含まれているので注意をして下さい。特にこれから気温が上昇する季節は、体温調節に、そして便秘予防に「水」が重要です。

あなたは「野菜くん」を理解してあげていましたか?

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