何で胃液をはくの?

 今年もあっという間に12月!みなさんにとってはどんな一年だったでしょうか?ワンちゃんの健康状態はいかがでしたか?一年の終わりに、季節ごとの食欲、行動を含めた健康状態を振り返り、健康日記をまとめておくと翌年の予防にもなるので便利ですよ。

 健康状態には季節性がつきものですが、季節を問わずによく耳にするのが「胃液を吐く」という飼い主様からのご相談です。吐いた後は元気に普通にしているという場合が多いため、病院へ行くほどではないが「なんでかな~?」っと日々お悩みではないでしょうか? 身体というのは非常に優れた生体防御機構を備えているため、何か異常があればそれを知らせてくれるのが普通です。嘔吐や下痢、皮膚のかゆみなども身体からの警報です。胃液を吐くことに関して言えば、胃の内容物は十二指腸へ移動するのが普通であり、それが口の方へ逆流してくるのは明らかになんらかの警報です。では、その警報は何を訴えているのでしょうか?

 一般的に言われているのが「空腹による胃酸の逆流」です。胃液は、主に胃酸、タンパク質分解酵素、そして胃粘液で構成されています。胃酸は食物の消化と体内に取り込まれた細菌などの殺菌も行うため、強い酸性です。ですから胃酸と胃壁を保護する胃粘液の分泌はバランスが取れていることが、タンパク質でできている「胃」を守っていることになります。健康体であれば「体内で分泌されるもの」は必要に応じて分泌量を決定するので、食物が入ってくれば「よし働くぞ~」っと分泌量が高まります。では、食物が入らない「空腹時」になぜ胃酸分泌が高まるのでしょうか?それは、胃酸の分泌を決定するにはもう一つ「脳」からの指令があるのです。食べものに対する視覚、嗅覚のほかにも「お腹がすいたな~、ごはんはまだかな~」っという想像でも「空腹⇒食事」という条件反射が生じ胃酸の分泌が促されます。結果、胃酸濃度だけがあがると、食道から胃へ送りだす力と、胃から食道への逆流を防ぐ力のバランスが悪くなり、食道の方へ、胃液が逆流するというしくみです。

 次に考えられるのが「食物繊維」です。飼い主様はペットフードに生キャベツなどの野菜を加えている場合が意外と多いのですが、食物繊維では人や犬がもつ消化酵素では分解されない上に、胃はそもそもタンパク質の消化の場です。胃酸は食物繊維を「やわらかくする」働きがあるので、その仕事が終わったらすみやかに胃から退出しなければなりません。しかし、必要以上の食物繊維が入ってくると、その仕事量にも負荷がかかりさらに長く留まっていることになります。その結果胃壁を刺激するので胃酸の分泌量が増加するという結果になります。働きに関していえば、「脂肪」も同様です。本来いるべき場所ではないのに長居をするため、胃にストレスがかかり胃酸の分泌が増加します。

 以上のことから、「空腹感」があることは、消化能を高めることになりますが、「空腹な状態を長引かせる」ことはマイナスだということになります。胃酸の分泌を刺激しない食べ物は食物繊維の少ない糖質、精白米のごはんやゆでたジャガイモ、タンパク質では、低脂肪な鶏のささみ、白身の魚などが良いでしょう。また牛乳が大丈夫ならばつめた過ぎない牛乳は胃酸を中和する働きがあります。

 今回は胃の機能的な問題については触れていませんが、考えられる要素を排除しても同じような状況が続くのは、胃の機能に問題があることも考えられるので、動物病院で診察して原因を探してワンちゃんにかかるストレスを減らしてあげましょうね。

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