「食べ物」の役割

 ここのところ「ホメオパシー療法」を否定する記事が大々的に取り上げられました。これを否定した科学者グループは「治療に役立つ科学的根拠は全くない」と断言し、一方でホメオパシー協会は「科学では裏づけできないことがあり、それを200年の歴史が物語っています!」と主張しています。みなさんはこの論議どのように受け取られましたか?私はどちらも正しいと思います。しかし、そもそも役割の異なる二つを同じ土俵で比べるのはいかがなものかと仕事に「適材適所」があるように「医療」にもそれぞれ適材適所があり、それを間違えれば逆効果になることを使用する側も知っておくことが大切です。なぜならば、どのようなことでも利点と欠点は背中合わせであり、その両面を知ってから使用するかどうかの判断をすべきだと思うのです。副作用の少ない身体に優しい治療方法でも手遅れになっては意味がないし、また、即効性があっても再発を繰り返す、または副作用が多くいつの間にか薬漬けになっては何のための治療だったのかとストレスが増強します。

 食事もしかり。適材適所に応じた食材や食事構成でなければ、どんなに健康に良いといわれている食べ物であっても、体調を崩す原因にもなりかねません。しかし、ある食べ物が何かの病気に良いことを知ると、「それだけを過剰に摂取する」、あるいは「良いといわれている食材同士何種類も組み合わせる」ことが現実にはよく生じています。しかし、このような状況が継続した結果、体内の働きのバランスを崩す一因となり、もともとの病気とは異なる病気を生じるといったことも人間、動物ともに起きています。

 食べ物は、一つだけの栄養素で作られているわけではないからです。つまり、取り入れたい栄養素以外の成分も体内に取り込まれるため、全体でのバランスを考えずに何でも組み合わせると、相性の悪い成分同士がトラブルを起こし、その仲裁役にはいった臓器は何とか改善しようと心みますが、疲れが溜まります。このとき何らかの症状を身体に知らせているはずなのですが、それに気づかず同じ事を継続していれば、結果生じるのが「病気」です。

 また、食べ物は食べればすべてが栄養として利用できるわけでもないし、沢山取り入れたからといって多くの効果があるわけでもありません。その食べ物からどのくらい栄養を消化吸収、利用、代謝、そしてその結果生じた身体にとっては不必要なものを排泄できているかどうかの能力は個体により異なります。よって、食材選びは、他の人によいから必ずしも自分にも良いとは限らないのです。

 一方で各自の身体に適した食材および食事内容は、体調を改善し、自然治癒力高め、心身ともに健康な状態を作ってくれます。「食べること=生きること」。さらには、何をどのように食べるかは、生きる質を決めるパワーを与えてくれます!食べ物は大切な人生のパートナーです。しっかりと情報を収集し、それぞれ適材適所の配置かどうかを納得した上で個体に適したものを選んでください。

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