大きくならないように食餌を減らす!?

 春、大好きな季節がやってきました! 私は風に漂う草花の香りに、マメタロウは風に漂う犬のおしっこの臭いを追って、お互い鼻をひくひくさせながら広い公園をお散歩しています。
 今回は、散歩中に出会ったある飼主さんの話をもとに「食餌の量と栄養」について考えてみましょう。
 ある朝の散歩で、毎朝会うシーズーに会いました。立ち止まってお母さんとお話をしていると「この子は大きいでしょう。よく食べるの」と、なんだかちょっと不満そうな感じでした。しかし、見た目に太っているわけでもなく、とても健康そうで可愛い子なのに何が不満なのかと、よくよくお話を伺っていると、「大きくなるのはいやだから、少ししか食べさせない人もいるのよ。お腹がすくんじゃないかと思うけど、すぐに慣れるんですって」と、まるで自分も実行しようとしているような感じでした。私は、その話に唖然としましたが、「そうですか、でも健康なのが一番で、大きさは関係ないじゃないと思いますよ−」と答えてその場を去りました。
 そもそも「大きくなったらいやだから」という話を耳にすることがありますが、いったい何がいやなのか? 我が子にはいっぱい食べて大きくなれと願うのに、なぜ我がイヌは大きく育ってはいけないのか? 
 体格を決定するには、まず骨格です。その骨格に適した筋肉や脂肪が身体についているかがその子のベストな体型を決定するわけで、もともとの規定の体重や大きさが全てではありません。ですから、どうしても規定の大きさにこだわるならば、購入以前に親犬についての情報を入手するのが良いでしょう。しかし、それでもその親以前の代の遺伝子を受け継いでいる場合もあるので、100%とはいえません。そう、愛犬たちは生き物であり、ブランド製品のように同じようにコピーされるわけではないのです。
成長期に食餌制限をすると、身体を作るために必要な栄養が十分に供給されず、成長不良や骨格異常、または将来なんらかの疾患につながる可能性も考えられます。また栄養障害から性格や行動異常が関与することもあるかもしれません。フード会社の給与量も、成犬時の予測体重に対してして表示されており、希望体重になるように食餌を与えるものではありません。
ただ、「太ること」と「大きくなること」は違います。前者は、その子の骨格に適した体長の割に体重は超過している、後者は骨格に適した体長や体重に成長することだと思います。いいかえれば、前者は生体としてのバランスが崩れていますが、後者は生体としてのバランスが良い状態で成長しているともいえるでしょう。
あなたの愛犬の一生は、「親」としてのあなたに委ねられています。平均値を提供する情報にだけ左右されず、個体差に適した給与量を与え、過不足の無いように必要な栄養を与え,健康な身体を作ってあげましょう。イヌの個体差はヒト以上に大きいので、単純にヒトと比較しないことが重要です。

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