犬の新聞

 まだまだ寒い日が続いています。我が家のマメタロウは寒がりの飼い主の生活パターンをすっかり学習し、先日は毛布に座ってこたつから頭だけを出し、ストーブにあたっていました!! しかし、いくら寒いとはいえ、毎日の「新聞を読む日課」は365日1日たりと欠いたことはありません。
 「犬が新聞を読むの!?」いえいえ、これは犬が電信柱や地面の匂いをかいで、情報を読み取っている(正しくは嗅ぎ取っているですね。)ことをたとえて言っているのです。
 犬の嗅覚は、ヒトの一億倍までも感知できるといわれており、その感度は匂いの種類によって違うそうです。最も強く感じるのは尿などに代表される「酸」の匂い、そして次が汗や腐った食品などに含まれる脂肪酸の「腐敗臭」だそうです。そしてヒトの感じる「花」や「ニンニク」などの匂いに関してはぐっと感度が下がります。これは、犬の嗅覚が、生活において危険な情報をすばやく察知し、それを記憶することにより、自らを守っているといえるでしょう。あるアメリカのリサーチでは、犬と馬はヒトの「恐れ」や「悲しみ」の感情についても感度が高いといわれています。そうすると、私たちが悲しいとき、そばに寄り添いぺろぺろとなめてくれるのは「悲しみの匂い」をぬぐいとろうとしているのでしょうか?
 このようなことから考えると、犬にとって匂いを嗅ぐとは「必要」だからであり、ヒトのように嗜好により「選択している」訳ではないのです。もし、人工的な匂いを好むのであれば、それは学習によって得た記憶や感情と結びついていることになります。たとえば大好きな飼い主が、ある種の香水をつけていた場合、その匂いはイコール飼い主であるわけです。決してその匂いが好きだから反応しているわけではないことを覚えておいて下さいね。
 その他嗅覚は、交尾時の相手選びや、免疫や内分泌システム(ホルモン)などにも深くかかわってくる大切な器官です。ですから、本来は犬の嗅覚を鍛えるため匂いは自由にかがせてあげたいのですが、最も良く読む犬の新聞である「犬の尿中」には危険な細菌がいる場合もあります!また、しつけの面でその本能的行動をやめさせるべきだという考えもあります。ですから、お散歩時の新聞読みは程ほどにして、家の中で、「におい探しゲーム」などをして遊ぶのもひとつの方法といえるでしょう。嗅覚の衰えは加齢による原因のほかに、ストレスや不安もかかわることがあるので、嗅覚を鍛えながら、犬と遊ぶのは一石二鳥かも!
 嗅覚障害は、ヒトの場合亜鉛、ビタミンA、チアミンなどのビタミン類の不足や食欲不振、また高ナトリウム食などが原因となることがあります。塩分の高い食餌は、カルシウムを尿中に排泄してしまうため、嗅覚をはじめとする神経が適切に働くのに必要な、ナトリウム、カリウム、カルシウムのバランスを崩してしまうためです。これを防ぐには普段からバランスが取れ、各個体に適した十分な栄養を摂取する必要があります。
 また、たばこの紫煙は嗅覚を弱めるだけではなく、その他の鼻の疾患につながる可能性も有るので出来れば避けたいものです。

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