自然食とは?

 最近はヒトでもペットでも「自然食」が話題になっています。そして「自然食」という表示があれば売上がぐんとアップするそうです。ということは当然ながらその社会現象を利用して売上を伸ばそうとする人たちもいることを忘れてはいけません。「少しでも健康に役立つ食品を」と考え買い物をする消費者をだますなんてひどい話ですよね。
 では、いったい「自然食」とは何でしょうか?
これらには多様な考え方があるようですが一般的には、ヒトの場合「人工的な肥料、調味料、香料、色素、防腐剤などを使用していない食品」、ペットフードの場合には「保存のための薬剤、着色料、化学合成剤を使用せず、天然材料だけでつくられたペットフード」と定義されているようです。この二つの定義を比較してみましょう。ヒトの食材は「人口的な肥料」をも規制している一方、ペットフードは「保存のため」に使用される添加物の規制であるという点です。つまり、「自然食」と謳うには、ヒトの場合その「食材の質」からが問題になっていますが、ペットフードでは作られたフードの「保存」において定義されていますよね。
 つまり、ペットフードにおいては素材までを自然食として製造するのは不可能なのです。それもそのはず、同じ野菜でも無農薬野菜や自然飼育の肉だと値段がぐっと高くなりますよね。そのようなコストでペットフードを製造しようということ自体無理な話です。それならば保存料だけでも「自然に」というのがペットフードに表示されている「自然食」の実態です。「自然保存料」とは化学合成された成分を含んではいないということです。科学的に合成された一部の成分は使用量によっては身体に害を与えることがあるからです。但し、ここにビタミン・ミネラルは含まれていません。
 現在自然保存料として使用されている最も頻度の高い成分は、トコフェロール(ビタミンE)ですが、その他にも各ペットフード会社は色々な自然保存料を模索しています。一方その発癌性について物議をかもしているのが、BHA、BHT、エトキシキンです。これらは少量ならば安全だといわれていますが、長期に渡り体内に取り込んで入れば、やはり危険だと考えられます。いまだにこれを使用しているペットフードがあるのは残念なことですが、もっと残念なのはその成分をきちんと記載していない場合があることです。消費者がペットフードを購入するときに信じられるのは袋にあるラベルだけです。安全だったら表記してもいいのでは?せめてラベルにきちんとした成分表示と、質問がある場合には答えられるカスタマーサービスの連絡先は記してほしいものです。また、消費者側も流行言葉に踊らされることなく、本質を見極めることが重要です。無添加の表示があるフードを少量とっておいてどのくらいでカビが生えるかを確かめてみるくらいの気持ちが大切です。
 あまり細かいことまで考えると、何を食べさせたらいいのか、あるいは自分でも何をたべたら良いのか混乱してしまいますが、ヒトやペットを含め「自然食」を総合的に考えれば、「新鮮な食材の全体を食べる」ことが理想であり、そこには生活環境や各々の食性が大きくかかわってきます。つまり一般に良いといわれるものが必ずしも良いとは限りません。単なる評判ではなく正しい認識に基づいた自分の判断で、可愛い「我が子」に何が適しているのかを選んであげたいものです。

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