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奈良なぎさ(なら・なぎさ)
プロフィール

1998年 「NEW YORK SCHOOL OF DOG GROOMING」(アメリカ)を卒業。1999年「The British Institute of Homeopathy」(イギリス)の「Nutrition & Herbology」コースを終了。2000年「School of Nutrition Science」(アメリカ)を卒業。同年、アメリカ・カリフォルニア州の「Nutrition Consultants」に登録。現在、当院に動物の栄養指導者として勤務しながら、動物と人間の個体別代謝システムの違いによる効果的な食事方法や、それに伴うライフスタイルなどを「CLAYTON COLLEGE OF NATURAL HEALTH」(アメリカ)の「HOLISTIC NUTRITION」コースを終了。現在、修士課程コースにおいて研究中。日本ペット栄養学会会員。ペット栄養管理士。

 

 

ペット栄養学教室

講師:奈良なぎさ


恐るべし小魚! 2009.9.26

 愛犬へのおやつで飼い主さんが与えたい食べ物には必ず「小魚」が入ってきます。私たち人間は「小魚=カルシウム」のイメージが強いのか、愛犬の健康を願う飼い主さんはカルシウム源と考えて小魚をあげているようです。確かに小魚にはその他の大きさの魚に比べ多くのカルシウムが含まれています。その上、干物などのように乾燥することにより、水分がぬけるため、さらに栄養素がギュっと濃縮され、もともと多く含まれていたカルシウムの濃度はさらに多くなります。
 「犬は人よりも多くのカルシウムが必要である」とよく言われています。それは事実ですが、一方で、カルシウムは沢山与えたからといってすべて吸収される栄養素ではありません。吸収するためにはタンパク質や乳糖が必要です。また、食物繊維を多くとりすぎると、逆に吸収率が悪くなります。このようにカルシウムは単体で吸収されるわけではなく、他の栄養素との組みあわせ、または体調にも影響されるのです。
 では、吸収されなかったカルシウムはどこへ行くのでしょうか?それらは、便中へと排泄されます。そのため、ウンチが固くなります。高齢のワンちゃんでそうでなくても便秘気味の場合は、よかれと思った栄養分が愛犬を苦しめる結果となることがあります。一方で、体内に吸収されたカルシウムは身体で利用するために必用な分以外は、腎臓を通して尿中に排泄されます。そのため、腎臓を通るカルシウムが多すぎると、それが原因で尿石症の原因となることもあります。さらに、体内では常に一定のバランスを保とうとする働きがあるため、血液中のカルシウム濃度が高いと、骨のもうひとつの構成成分として大切なリンをとかして、体内バランスを保とうとするのです。つまり、このような状態が継続すれば、結果骨が弱くなり、尿石症のリスクが高まるという、飼い主さんが思ってもいなかったことが生じえるのです!
 そしてもうひとつ小魚で注意したいのが、その「ナトリウム」の含有率です。魚は海中で生きていくために、うろこで全身を多い、体内の環境を維持しています。ところが小魚のようにうろこが薄い、あるいは殆どない魚は体液濃度を海水に近づけることで生命を維持しているのです。うろこの未発達な稚魚であればなおさらのこと。たとえば、100gあたりの塩分含有量の比較では、まいわしが0.3gなのにたいし、煮干は4.3g、しらす干しは6.6gです。しらすぼしはいわしの稚魚である上に、塩水で煮てから乾燥させるため、その塩分含有量はダントツです。過剰な塩分は心臓に負担をかえるだけではなく、尿中から排泄されるときに、犬にとって重要だと考えていたカルシウムまで一緒に尿中に排泄してしまうのです!
 恐るべし小魚パワー!!一般的に総合栄養食であるドッグフードを与えている場合は、十分量以上にカルシウムは入っているので、カルシウム不足をそんなに心配しなくても大丈夫。逆に与えすぎに注意をして下さいね。


 

東京都板橋区にある犬と猫を中心に診療・治療している動物病院です。質の高い動物医療を提供できるように努めています。(C) 株式会社 ホズミ ALL RIGHTS RESERVED