» 医局員名簿
 ┣ 医局獣医師名簿
 ┗ 医局動物看護師名簿

» 研修室
 ┣ 学会誌
 ┣ 各学会・年次大会
 ┣ 小動物専門誌
 ┣ 動臨研カンファレンス
 ┗ 個人・その他

» 院内日誌

» ペット栄養学教室

» パピークラブ

奈良なぎさ(なら・なぎさ)
プロフィール

1998年 「NEW YORK SCHOOL OF DOG GROOMING」(アメリカ)を卒業。1999年「The British Institute of Homeopathy」(イギリス)の「Nutrition & Herbology」コースを終了。2000年「School of Nutrition Science」(アメリカ)を卒業。同年、アメリカ・カリフォルニア州の「Nutrition Consultants」に登録。現在、当院に動物の栄養指導者として勤務しながら、動物と人間の個体別代謝システムの違いによる効果的な食事方法や、それに伴うライフスタイルなどを「CLAYTON COLLEGE OF NATURAL HEALTH」(アメリカ)の「HOLISTIC NUTRITION」コースを終了。現在、修士課程コースにおいて研究中。日本ペット栄養学会会員。ペット栄養管理士。

 

 

ペット栄養学教室

講師:奈良なぎさ


犬版「アンチエイジング」 2006.3.31

 我が家のマメタロウも3月で11歳になりました。年齢を聞かれて答えると「あら、もうおじいさんね」なんていわれてしまいます。ちょっとがっかりしてしまいますが、一方で現実は受け入れなければなりません。幸い病気をするわけでもなく、快眠快食で毎日元気に暮らしてくれています。しかし、飼い主も含め加齢の影響は徐々に健康に影響してきます。では、この「加齢」を遅らせるためには生活上どんな工夫をすればよいのかを考えたいと思います。犬版「アンチエイジング」です。

 「食べること=生きること」。ライフスタイルに即した、栄養バランスのとれた食事を必要量規則正しく食べることは、一生を通じて大切なことはいうまでもありません。しかし、加齢により変化してくることがあります。それは代謝諸機能の低下です。この原因としては筋肉量および筋力の低下と体内分泌酵素量の低下が考えられます。

 身体は筋肉により支えられ、筋肉により維持されているのです。感覚器は神経により支持されていると思いがちですが、脳からの指令が神経にあっても、筋肉がなければそれを諸機能に伝達することができません。内臓の動きも筋力によるものなので、筋力が衰えれば当然、諸機能も低下します。「歳をとったから消化の良い食べ物がいい」と思っていませんか?一般的にヒトでは「消化によい」というと「おかゆ」のような形状を想像しますよね。確かに、口に入る前から半消化状態にした食べ物は消化にかかる負担は減少します。しかし、これは体調が改善するために「一時的」にする食事であり、健康状態のときに「毎日継続的にする」食事形態ではありません。なぜならば、消化器官の仕事量が減るため、結果消化能力も低下してしまうのです。楽なほうに流れやすいのは身体の中も同じなんですね。

 では、毎日食べる消化に良い食事とはどんな食事なのでしょうか?それは、まず「原材料の質」です。質の高い食材は、体内代謝産物といういわば、食事を作るときの廃棄部分が少ないので、そういったものを処理する肝臓や腎臓などの臓器にかかる負担を減らすこともできます。特に身体の大部分は蛋白質と水で構成されているため、蛋白質の質が重要です。特にその必要量の高い犬や猫では、腎臓からの窒素排泄量が高いため、質の高い蛋白質が必要です。質が高いということは少量で十分なアミノ酸を摂取できるため、腎臓にかかる負担も減ることになります。もちろん、こういったことは年齢に関わらず生涯をとして大切なのですが。また、どんなに質の高い食事を食べても、その栄養を吸収する腸管が健康な状態でなければ、折角の栄養はただ便中へ排泄され、細胞へ栄養が十分に送られないことになります。その環境を守ってくれるのが「食物繊維」です。しかし、だからといってやたらに食物繊維をフードや食事、おやつに加えるのは考え物です。本来吸収されるべき栄養素も繊維がさらって便中に排泄してしまうからです。

 また体内では常にフリーラジカルという活性酸素が生じてしまいます。これは生きている以上避けられません。身体は本来この酸化を防ぐ酵素を分泌できますが、加齢やその他の多様な要素により分泌量が減少すると、酸化を防ぐ働きが追いつけずに結果、体内細胞が傷ついてしまいます。そこで、サプリメントの登場です。高齢用のペットフードにはこういったことを考慮し、サプリメントが添加されているため、そういったフードを利用している場合はあえて与える必要は無いと思います。自然の食品をおやつとし、そういったものから取り入れると良いでしょう。手作り食の場合は、加えることよりも不必要なものを減らすことをまず第一に考え、その上でビタミンEやビタミンCを強化すると良いでしょう。犬はビタミンCを体内合成できますが、加齢やストレスでその産生量は減少します。またビタミンCは抗酸化作用だけではなく、加齢とともに不足しがちな結合組織であるコラーゲンの合成にも必要です。ただし、過剰摂取は結石症や下痢など他の問題を起こすことがあるので、使用の際には現在の健康状態に適したように使用したいものです。

 そして最近気になっている犬のアンチエイジング方法があります。それは「舌」です。ペットフードは舌ですくう必用がなく、口の中に摂取できます。また、おやつも噛むために作られたものを飼い主は犬に与える傾向があります。そのためか、手作り食を与えたら舌をうまく使って食べられない犬がいました。舌には味覚を感じる味細胞があります。味細胞が神経刺激を受けると、その伝達は顔面神経、舌咽神経、迷走神経という脳神経に伝わります。舌咽神経は味覚以外にも飲み込む動作や唾液の分泌に、迷走神経は内臓の働きをコントロールし、特に腸の蠕動運動を刺激します。つまり、舌の筋肉を衰えさせないこともまた、食べ物を効率よく消化吸収するために重要ではないかと思うのです。お皿に塗りつけたチーズなどを下で掬い取るといったおやつのあげかたは、舌の筋肉を強化し、かつ飲み込まないので食べすぎを避けることができます。あくまでも推測ですが犬本来の食性を見ていると「舐めること」も健康維持には必用なのではないかと感じます。

 もちろん、適度な運動やストレスの少ない環境も大切です。飼い主も愛犬もアンチエイジングでいつまでも若々しく健康でいられますように。


 

東京都板橋区にある犬と猫を中心に診療・治療している動物病院です。質の高い動物医療を提供できるように努めています。(C) 株式会社 ホズミ ALL RIGHTS RESERVED