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院内日誌

おたくのネコちゃん外出しますか?

長澤昭範(1999年11月30日)

 街中ではネコちゃんがブロック塀の上で気持ち良く昼寝しているのをよく見かけます。
 ネコちゃんは運動神経が発達しているので、万が一塀の上から誤って落ちたとしても、身をひるがえし上手に着地することが出来るでしょう。しかしこれがマンションやアパートの高層階での出来事だったらどうでしょう。
 先日マンションの6階から落ちてしまったネコちゃんが病院へ運び込まれて来ました。
 このネコちゃんは、病院へ着た時はごく軽度のショック状態およびおしりに直径2cm位の深く大きな穴を開けて出血をしていましたが、意識はしっかりしていて、呼吸状態も安定しており、検査の結果から内臓の破裂、骨折等の所見もありませんでした。この6階から落ちてしまったネコちゃんは奇蹟的にも一命を取り止めたのでした。飼主さんの話を聞くと、ネコちゃんがベランダの手すりを渡っているときにネコちゃんの名前を呼びながら手を差し伸べたとたんにバランスを崩して6階から落下、一度トタン屋根に落ちて、そこを突き破って地面に落ちたとの事でした。トタン屋根がクッションとなってくれたために助かったのですね。
 私達の日々の診察でも「この子は外に出ますか?」との問いに「外にはでないのですが
ウチのベランダだけです。」という答えが多いように思えます。そして実際、高層住宅のベランダから落下して来院するネコちゃんは珍しくないのです。
 外に出るネコちゃんは、交通事故、ウイルスの感染やケンカによる外傷など、家の中で飼われているネコちゃんよりもより多くの危険が付きまといます。一方、家の中で飼われているネコちゃんは、このような危険性は回避できるものの、ネコ本来の生理・生態から発生する「この行動がしたい」という独特の欲求を制限してしまうことになります。ネコちゃんを家の中で飼うか、外へ出すかはその子の生活環境や飼主さんの考え方によって様々で、どちらが最良かということは一概に決めることは出来ないでしょう。
 さて、どうしたらネコちゃんが少しでも退屈せずに心地よく家の中で過ごせることが出来るでしょう。まず広さでけでなく、自由に飛び乗ったり、飛び移ることの出来る段差のある空間を用意してあげることや、特に高い所で休めるような場所を作ってあげることは重要のようです。また、その高い所から視野に入る範囲だけが常時過ごす環境にならないように、2部屋を自由に行き来できるようにするとか、1室であっても死角のある部分を作ってあげたり、常に新しい物を運び込んで(ダンボールなど)刺激してあげることも重要なようです。また、オモチャを動かして積極的に遊んであげることも捕食行動の欲求に少しでも応えられるものではないでしょうか。
 私たち人間の生活環境にあわせてネコちゃんの飼い方も環境も変化し、それによって、減ってくる病気、増えてくる病気と色々であると感じています。予防できる病気や予想される事故は避けられるものであれば、問題が起こる前に気にかけてあげたいものです。


 

東京都板橋区にある犬と猫を中心に診療・治療している動物病院です。質の高い動物医療を提供できるように努めています。(C) 株式会社 ホズミ ALL RIGHTS RESERVED