院内日誌
舐めれば治る?
佐古絵理(1999年7月22日)
梅雨が明けると外によく遊びに行く猫ちゃんにとっては楽しい季節になります。しかしそんな猫ちゃんがなんとなく元気がなくなったり、足を地面につこうとしなかったりすることがあるかもしれません。あるいはからだのどこか一個所を一生懸命舐めていたりするかもしれません。そんなときは全身をくまなくさわってあげてください。腫れていたり、痛がったり、かさぶたができていたりしませんか?そんなときはきっと、他の猫ちゃんとけんかして傷ができているのです。 猫が傷口をよく舐めていると、舐めて治しているのだろうと思う方もいると思います。しかし、残念ながらそうはいかないことが多いのです。確かに猫の唾液の中にはバイ菌をやっつける成分も入っています。しかし、猫のかみ傷は小さな穴に見えても奥は深いことが多いのです(あのするどい犬歯をがっちり入れられたらどうなるか、想像してみてください)。いくら舐めても、一回皮膚の下にある脂肪や筋肉の層まで埋め込まれてしまったバイ菌をやっつけることはできません。それにざらさらした舌で舐めることで表面の傷を広げることにもなりかねません。放っておくとかまれた場所によっては、バイ菌がもっと広がって膿がたまったり、大事な神経や筋肉の腱をいためたりすることになります。 早いうちに見つかれば、傷口を広げて中にたまってくる膿を流し出すようにして、化膿止めを何週間か飲めば治ります。しかしかまれてから時間がたってしまうと、そういう処置のほかに、バイ菌にやられて死んでしまった脂肪や筋肉を取り除き、きれいな組織を寄せて縫い合わせるような、より大掛かりな処置が必要となります。そうなると、治るまでに1ヶ月も2ヶ月もかかることがあります。ですから猫ちゃんが外から帰ってきたら、よく帰ってきたねとなでてあげるついでに、ちょっと全身をチェックしてみてください。