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院内日誌

盲導犬ミントの死

院長 山村穂積(1998年1月20日)

 光を失った星野有史さん。星野さんは中学2年生のとき”ベーチェット病”にかかってしまい、高校2年生で失明しました。8年前に盲導犬と出会い、ミントと共に生活するようになったようです。私どもの病院を初めて訪れたのは1992年7月のことで、ミントは腰が砕けるようによろよろしていました。治療を開始するとすっかり良くなり、その後も膀胱炎やその他の病気で時々来院していましたが、ワクチン、フィラリア予防もしっかり行っていました。
 ところが最近になり嘔吐をしたということで来院し、治療が開始されました。この嘔吐は非常に頑固で、胸のレントゲン写真を撮ったところ肺が真っ白に映り、総合的診断では上腹部に何か腫瘍が出来ており、その腫瘍が肺に転移したことが考えられました。実際にはこの段階で手のつけようがありませんでした。病院を挙げて治療に取りかかりましたが、33日目で12才で息を引き取りました。
 治療に取りかかったときには、すでにかなり病状が進行しており、治療の効果が上がらなかったことが残念で仕方がありません。一般に盲導犬はおとなしく、静かにしているために呼吸が苦しくてもあまり症状を現さなかったことが発見が遅らせたものと思われます。実際に治療をしていてもおとなしく我慢強く従順で、このような性格が仇となり飼い主にも病気であることが解らなかったものと考えられました。そう思うと、ますます残念でなりません。
 このように立派な盲導犬として人間のためにがんばって働いてくれていたミントのような犬には、長生きしてほしかったです。いままでも私たちは盲導犬の治療をしております。メラノーマという恐ろしい癌にかかった盲導犬も居ましたが、完全な切除で再発もなく数年が過ぎています。けれども、ミントの場合のように、みんなの力で何とかしたいと思って全力を尽くしてもどうにもならない運命があるように思えます。運命には逆らえないのかもしれませんが、残念さは募るばかりです。
 ここで素晴らしい本を紹介したいと思います。

 星野有史さんが音声ワープロで執筆した『“夢をくれた盲導犬”ミントと一緒に生きる』ポプラ社刊。定価1,200円。ミントとの出会いを通して得た喜び、盲導犬への理解など、愛と感動の記録です。是非手にとって読んでみてください。あなたの人生をさらに豊かにしてくれる何かが見つかることでしょう。
 院長 山村穂積から全国の理解ある皆様にお願いいたします。


 

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