院内日誌
手術と痙攣
山村純一(退職)(1996年12月20日)
15歳の高齢犬の雑種の20kgほどの体重で、横腹におおどんぶり位の腫瘤と茶碗くらいの腫瘤が3個ほどある犬が来院した。バイオプシーで脂肪腫と診断し、経過観察を行っていたが、日にちがたつに連れ、さらに腫瘤は大きくなっていった。 脂肪腫は通常良性腫瘍であるが、似たような脂肪の腫瘍で脂肪肉腫という悪性のものがあるので、もしも後者の悪性腫瘍であったら大変だ。手術を決定し、手術前の種々検査ではあまり気にするような所見は見られなかった。麻酔も順調で思うような手術ができた。切除したものの病理検査結果はやはり脂肪腫ではあった。この犬は手術後3日目に癲癇様発作を起こした。飼い主さんはおお慌てで、当院に来院した。発作の原因は不明であり(その後いろいろと調べてみたが、脳血栓が起こる可能性はあるかもしれない。)釈然としなかった。飼い主さんはワンちゃんを心配しながらも、”先生のせいで痙攣が起きたわけではないし、この子のことを考えた上で手術を行ってくださったのですから気にしないでください。”と声をかけてくれた。幸いこのワンちゃんはその後の治療に反応し、異常が起きなくなり元気をとりもどしてくれた。 今回のような例はまれだが、動物の診察、治療するに当たって予期せぬ状態になってしまうと、飼い主さんにご心配をかけ、ご迷惑をかける。この家族動物であるワンちゃんに対する家族の思いは大変だ。この事を考えると申し訳なく思うとともに仕事の難しさを実感している。