院内日誌
犬の脳炎
時松隆(退職)(1996年11月3日)
先日、2歳のポメラニアンが、最近上手に歩けなくなってしまったとのことで来院しました。その歩き方はゼンマイ仕掛けのおもちゃの様で、歩いてもすぐに右側に倒れてしまうのです。神経学的検査を行うと、右前肢と後ろ脚の不全麻痺という所見があり、さらに右目が光を感じず、視力が無いなどの異常所見が認められました。この所見から、頭やその周辺に何らかの障害があることが考えられました。このような場合には、CTやMRIというような電子的に頭の輪切りをみることによってより原因がわかる場合があるので、日本大学動物病院にて頭部のMRI検査を実施しました。 検査結果は、脳全体(大脳、小脳、視床、そして脳幹)に数多くの炎症像があり脳炎が疑われました。そこでこの病気の治療を始め、お薬を飲み始めたことにより、その子の歩き方はほぼ正常になりました。でも右目は改善されてきません。なんとかしなくてはいけないとがんばっているところですが、近日中に、脳脊髄液を採取して原因究明のための種々の検査を実施する計画を立てているところです。 最近の獣医療はすさまじい進歩をとげています。今回のようなケースでは、MRIなどの特殊検査を行うことにより、あいまいではなく次に何をしたらよいかなど治療計画がすぐにたてられることに感激をしております。 新しい病気の発見に出会い、そして日々勉強していかなくてはならないと痛感しています。