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院内日誌

肺ガン

山口光昭(退職)(1996年10月22日)

 この間、ハリーキャラハンという肺癌の犬が来院した。癌の病巣が心臓と肺をを圧迫しているので、外科手術が必要と判断された。そこで早速、手術を行うことになった。しかし幸運なことに、何とその手術はこの業界屈指の2人の先生が執刀して下さるというのだ。一人はうちの院長(患者さんは知らないかもしれないが結構偉いのである)、そしてもう一人は財団法人動物臨床医学研究所理事長であり、東京農工大学獣医外科学教授でもある山根義久先生(これまたこの業界ではエライ)。こんな2人のオペなんてそうそう見られるものでもなく、オペの当日、私は休日ではあったが、超微力ながら助手をさせて頂きに出勤した。
 私はものすご〜く緊張した。うちの院長よりも怖〜いオーラが山根先生からピリピリ出ているのである(うちの院長は偉いのにオーラは出さない)。多分その場にいた獣医師全員が何らかの注意を受けたと思う。さすがに手術はスマートで繊細で大胆で合掌もので(もちろん成功)、私にとっては得難い経験になったし、なにより勉強にもなった。
 手術の後、山根先生は大学の仕事があるため早々にその場を立ち去られた。その後手術の興奮もさめやらないでいた私に、山根先生から1本の電話が入った。内容は、「学会で報告しなさい」。この鶴の一声で、私の苦悩の日々が始まったのだった。


 

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