院内日誌
検査と治療費
浅沼秀樹(2000年4月17日)
先日ぐったりしている猫が来院しました。お話を聞くとご自宅で一緒に暮らしているのではなく、いわゆるノラちゃんということでした。お話を聞いても、このような状態になった経過は全く分からず、その他についても分からないことだらけでした。そのため、なぜこのような状態になってしまったのかという原因について、ほとんどヒントがないまま治療に入ることになりました。でもここで大きな問題を抱えることになります。それは「どのような治療を望むのか?」ということです。人がぐったりしていたら、救急車で最大限の応急処置が施され、病院内でも最大限の検査とそれに対する最善の治療を施行します。しかし、動物の場合、一概にこの行程を踏めばいいという訳ではありません。特に今回のように病気の原因が特定できない場合、もし原因の追及を行うとすれば、血液性状の検査、感染症(ウイルス)の検査、尿や便の検査、腹部や胸部の臓器の検査(レントゲンや超音波)などの中から選択して検査を行わなければなりません。このことは飼い主さんに過剰な金銭的負担をかけることとなります。非常に現実的なお話ですが、このことは治療を進める上で大きな問題となることがあります。ただ、「それでは何をすればよいでしょうか?」なんてもちろん聞けませんので、今一番必要なこと、そして今後の経過によって必要になる可能性が高いこと、さらには最終的にどのような状態まで回復することを目標とするのかなどなど、いろんなお話をすることになります。でも、状態が悪い猫ちゃんを目の前にして、ゆっくり話している時間もありません。「我々のお話を理解していただけかな?」「説明が不足していたことはないかな?」「疑問に感じていることはないかな?」、たくさんの心配を抱えながら処置を続けます。結局その猫ちゃんは入院して点滴などの対症療法で様子を見ることになりました。 特にノラ猫ちゃんなど、飼い主さんの目が届かないところにいる動物は、状態が非常に悪くなって来院することが多く、このことは同時に治療費がかかる場合が多いことを意味します。できるだけ早く回復するためには原因を特定し、ターゲットをしぼった治療を行うことが必要なのですが、ノラちゃんだからといって簡単に診断がつく病気ばかりではありません。むしろいろんな合併症を併発していると、さらに原疾患の特定が困難になります。こんなときはいつも、動物とお話ができればいいなあと思います。 「なんで具合が悪くなったの?」 「ニャ〜ン」 「・・・」