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院内日誌

大きくなった乳ガン

白永伸行(2000年1月7日)

 17歳のポメラニアンのプリンちゃんは5年前から気づいていた乳ガンが大きくなり、分泌物が出て汚くなってかわいそうで困るんだということで来院しました。
 プリンちゃんは流行りの小型犬用のかわいい服を着ておりそれを脱がせると、こぶし位の大きさになった乳ガンがぽろりと出てきました。それは表面に一部が自壊(表面が崩れる)してうす黄色の汁がにじみ出ていました。この乳ガンはプリンちゃんの体からすると顔の半分以上の大きさになっています。これをみて私はビックリしました。このような状況を人間にたとえるとどうでしょうか?。5年前に発見したガンが自分の顔半分の大きさになり、自壊してそこから分泌物が出ている。それを抱えて平気で生活出来るのでしょうか。
 犬の平均寿命が長くなった現在では、ガンにかかる動物が非常に増え、その中で乳ガンの占める割合が圧倒的に多くあります。ガンには差ほど悪性でないものもありますが、放置したら巨大化して激しい炎症や自壊を伴って苦痛を伴う生活を送る訳です。もちろん悪性度の高い場合には放置すると肺などに転移して助けられなくなる場合があります。
 プリンちゃんは身体検査の結果、非常に重い心臓病を持っていることがわかりました。よく話を聞いてみると、他の病院に通っており、その通っていた病院ではガンが小さかった時点で相談したのですが老齢である理由で様子を見るように言われたので様子を見ていた。そのうち心臓が悪くなって手術を見送っていたのでした。結局、プリンちゃんは乳ガンが両方の乳腺にたくさんの小さなしこりが多発していたのですが、レントゲン所見では肺への転移は無いものの、血液検査や他の検査から、全部を摘出するには時間がかかり全身状態があまり良くないので根治的な方法はあきらめて、今現在巨大な大きさの自壊して分泌物の出ている一つだけの固まりの摘出手術をとりあえず行うことにしました。
 動物でも人間同様にガンは早期発見、早期治療が鉄則です。ご家庭のペットの体を触っていて少しでも「このしこり、何だろう?」と思ったら、どうぞ早めに一度診察を受けてみて下さい。プリンちゃんは術後の経過は悪くなく、何より体重の1/4の重さの大きな乳ガンであったために、摘出後はご高齢でありながらも階段の上り下りができるようになったようで、私も一安心しています。これから次のしこりのことを考えて行かなくてはなりませんが、もうこのように大きくしないで欲しいと思っています。


 

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