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やどり木カンファレンス

犬の動脈管開存症

2008年3月

 動脈管とは!⇨胎生期左第6さい弓動脈は大動脈と肺動脈の間に動脈管として形成されます。この動脈管は右心系からの血液を全身に送るための血液循環連絡路として働いています。出生時に肺の拡張が生じ、全身の血管系でO_分圧が増加します。呼吸開始によるO_分圧の増加は肺血管の拡張も促し、肺細動脈の拡張を生じさせ、このことが動脈管収縮のための筋組織を刺激し、生後48時間以内に閉鎖します。これが閉鎖しないのが動脈管開存症(以下PDA)です。

【発生頻度および経過】

  • 先天性心血管異常全体の30%
  • 雌に多い(雄の2~3倍)
  • 遺伝性
  • 幼若期⇨50%:無症状・正常発育
        30%:MRを併発
        20%:左心不全・心房細動
  • 治療実施しない場合生後2~3年における死亡率は68%

 PDAは、先天性心血管異常全体の30%と高く、メスに多く発生します。また、遺伝性であると言われており、好発犬種はトイプードル、スパニエル、シェルティなどです。PDAの50%は幼若期に正常発育を示し無症状で経過します。残りの30%は左心負荷によるMRを呈し、20%は左心不全を呈します。治療を実施しない犬での生後2~3年における死亡率は68%です。したがってPDAは根治療法が必要とされる重要な心血管疾患です。

【各種検査所見】

  • 身体検査:股動脈⇨反跳脈
  • 聴診:左心基底部での明瞭な連続性雑音
  • 血液検査:全血球・生化学検査ともに正常
  • 心電図検査:左室負荷
  • X線検査:左心系拡大を伴う疾患と同様所見
         肺血管径の拡大
         肺水腫など
  • 心エコー検査:

 PDAは肺血管床の状態や短絡血流量により病態が異なりますが、今回の話は外科手術メインで話しますのですべて一般的な左ー右短絡でのないようです。ほとんどの犬で血液検査は正常です。ご存知のとおり触診にて反跳脈として股動脈が触知されます。
  “これは収縮期血圧と拡張期血圧の較差が大きいほど顕著です。PDAではAOからPAに拡張期の間も動脈管を通じて血液が流れ込むため、拡張期血圧が低下するため圧較差が大きくなるのです。”
  聴診上、左心基底部(腋下部ですね)Levine4/6以上の連続性雑音が聴取されます。これが3/6以下の場合には別の短絡、気管支食道動脈短絡である場合がほとんどです。

ECG:Ⅱ誘導におけるR波振幅の増高
CV6LL・CV6LUでR波の増高(3mvまで正常S波の増高は右心負荷)
X線:VDで心陰影は細長く尾側に延びた感じで心尖部の鈍化がみられる。大きな短絡では下行大動脈のPDA起始部以降の血流が少ないため狭小化が見られることがある。月齢が大きくなってからの手術では左心系拡大が変化しないこともあります。

【治療法】

  • 経皮的コイル塞栓手術 タイプEおよびタイプA
  • 開胸下動脈管結紮法 直接法
              ジャクソン法

 コイル塞栓術は最近ルーチンに実施されている方法ですが、動脈管の形状により適応できないものもあります。適応はAおよびEです。
 タイプAは動脈瘤があるやつ!!タイプBは肺動脈に直接開存しているやつ!!タイプCは人に多く見られる太さが細く一定で長いやつ!!タイプDはひょうたんみたいになっているやつ!!タイプEは犬に最も多い大動脈側が太く肺動脈側が細いテーパー状のやつ!!です。なおコイル塞栓術の主な合併症は溶血です。
 一方、開胸下における結さつ法は直接法もありますが、これからお見せするジャクソン法が安全です。とはいううものの結さつ法の死亡率は7%です。

心エコー検査所見

 PDAでは容量負荷のため、左室拡張末期径が増加します。ちなみに好発犬種である小型犬の正常値上限は2.5cmです。これ以上の場合は左心負荷が明らかであるとし、手術を先延ばしにする意味はまったくありません。PDAの場合手術可能な大きさならば手術時期が早すぎるということはなく、早いほどよいです。
 PDAでは時々軽度の僧帽弁逆流が認められます。これは左室の容量負荷による弁輪拡大によるもので、つまりM弁の真ん中部分からカラードップラーで逆流が描出されます。

 

PDAでは、左側傍胸骨方向からPDAそのものをみることができます。犬に最も多いタイプEは大動脈側が幅広く肺動脈側は狭い漏斗状を呈し、カラードップラーを用いると乱流のジェットが確認できます。

【血管造影所見】

 開胸手術では麻酔時間短縮のため造影検査を実施しせずに手術にのぞむことも多いのですが、コイル塞栓手術では血管造影を実施し、PDAのタイプの確認と適用するコイルのサイズ決定を行います。
 肺動脈側の径を測定し、コイルは通常その1.5から2倍の大きさの物を用います。今回は開胸手術メインですので詳細は省きます。それでは今回実施した7ヶ月齢トイプードルのジャクソン法による外科的治療を動画でご覧ください。

コイル塞栓術後血管造影所見

レントゲン検査所見

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