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やどり木カンファレンス

イヌの理学療法

2007年4月

岡田みどり

【はじめに】

近年,獣医学領域において,理学療法は神経疾患・整形外科疾患に対する補助的療法として重要視されつつある。当院でも現在,理学療法を積極的に行っている。日常の診療業務のなかで飼い主さんの要望の高まりも実感しており、今回は神経外科、整形外科の入院中のプログラムについて検討してみた。
私自身,以前から神経病に興味をもっており,よりよい治療を行うためにもできるだけ多くの情報を入手するとともにスキルアップをしたいと考え,今回オーストラリアで開催されたPhysiotherapy for the canine industry courseに参加した。それらの情報の紹介とそれを元に今回のプログラムを作成した。

【神経外科理学療法適応症例】(オーストラリアでのセミナーより)

  1. 脊椎の手術後
  2. 椎間板疾患
  3. 脊髄外傷
  4. 繊維軟骨性塞栓症
  5. ウォブラー症候群
  6. 末梢神経麻痺
  7. 変性性脊髄症
  8. 多発性神経根炎

神経外科リハビリテーションプログラムを組むに当たって毎日評価を行う。

脊髄障害のグレード
1:疼痛のみ(神経学的検査で異常なし)
2:不全麻痺、運動失調。ふらつきながら歩行可能
3:不全麻痺、歩行不能
4:完全麻痺、深部痛覚あり
5a:完全麻痺、深部痛覚が消失してから48時間以内
5b:完全麻痺、深部痛覚が消失してから48時間以上経過

【整形外科疾患適応症例】(オーストラリアでのセミナーより抜粋)

  1. 前十字靱帯断裂
  2. 膝蓋骨脱臼
  3. 大腿骨頭切除
  4. 股関節形成不全
  5. 肩・肘の手術
  6. 骨折

整形外科リハビリテーションプログラムを組むに当たって毎日評価を行う。

跛行グレード(Canine Rehabilitation & Physical Therapyより)
0:正常
1:軽度な間欠性の跛行
2:明らかな体重負重性の跛行
3:重度の体重負重性の跛行
4:間欠性の非体重負重性の跛行
5:連続性の非体重負重性の跛行

このようなグレード分類を使用し、客観的に評価していく。

【オーストラリアのAnimal physiotherapistについて】

今回のセミナーの講師であるMichelle Monk先生は,オーストラリア全土で20人しかいないAnimal physiotherapistのひとりである(20人中,小動物のAnimal physiotherapistは12人)。オーストラリアのAnimal physiotherapistは,4年間でヒトの理学療法の学位を取得し,それから2年間臨床経験を積み、その後2年間の動物理学療法の修士課程を習得することができる。Animal physiotherapistはまた,オーストラリア理学療法協会の特別なグループのひとつであるAnimal Physiotherapy Grope(APG)に所属する。オーストラリアでは公的な資格をもったAnimal physiotherapistのみが,理学療法を実施することが可能なため,獣医師が理学療法を実施することはできない。しかし,Animal physiotherapistは獣医師の紹介状に基づき,治療を行わなければならない。それらの連携システムは、当院の獣医師と看護師の連携と同様だと感じた。

 

東京都板橋区にある犬と猫を中心に診療・治療している動物病院です。質の高い動物医療を提供できるように努めています。(C) 株式会社 ホズミ ALL RIGHTS RESERVED