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やどり木カンファレンス

外科的整復を試みた環椎‐軸椎不安定症の犬の1例

2007年4月

池谷大輔、岡田みどり、阪口貴彦

【はじめに】

環椎‐軸椎不安定症(atlantoaxial instability;以下AI)とは、環軸亜脱臼もしくは環軸脱臼と同義である。環椎(第1頸椎)と軸椎(第2頸椎)の関節を支持する歯突起および靭帯の異常による関節の不安定化に関連した脊髄障害を起こす疾患である。
AIには、環軸関節の先天的形態異常に関連して発症するものと、外傷性椎体骨折や歯突起骨折などに伴い後天的に発症するものがある。
先天的な形態異常の好発犬種はトイ犬種・小型犬種で、治療法に関しては合併症などの問題から現在も確立はされていない。
今回、外傷により環軸関節の脱臼およびそれに関連した脊髄障害が起こった症例に対し外科的整復を試みたので、その概要について報告する。

【症例】

症例は4歳・避妊済みメスのトイプードルで、これまでAIの症状を呈することはなっかった。落下後にチアノーゼ・後肢の伸張を主訴に来院した。来院時にはチアノーゼはみられなかったが、意識混濁・起立不能の状態で後肢の伸張がみられた。

【血液学的検査所見】

CBCに関しては特所なく、血液生化学的検査ではCK・ALPの上昇がみられた。

【X線学的検査所見】

第1頸椎・第2頸椎における脱臼、第7頸椎・第1胸椎のアライメントの不正が見られた。胸腔内の所見、その他四肢の骨折などの所見はなかった。

【CT撮影検査所見】

第4病日、状態の安定が得られたため、CT撮影検査を行った。
第1・2頸椎関節部における、第2頸椎のズレによる脊髄の軽度圧迫所見が得られた。
第7頸椎・第1胸椎間に所見は得られず、正常であった。

【MRI撮像検査所見】

両側側脳室の拡張、第1-2頸椎間における脊髄にT1強調像でLow・T2強調像でHighの病変を確認。第2頚椎の不安定による浮腫・炎症が強く疑われた。

【治療・経過】

来院時、抗生剤・ソルメドロール(30mg/kg)の静脈投与を行い、疼痛緩和の目的でブトルファノール(0.2mg/kg)の皮下投与・頚部の外固定を行った。
第2病日より、PSL(1.0mg/kg)・ABPC(20 mg/kg)BIDの投与を行ったが、状態の改善がみられなかったため、第6病日、環軸関節の整復ならびに固定を行った。固定には、ピンと骨セメントを使用した腹側椎体固定法を用いた。術中、術後の喉頭浮腫による呼吸困難の予防として鼻‐喉頭チューブの挿入も同時に行った。
術後、体温・呼吸状態の不安定がみられたが、第10病日には食欲も回復し、第11病日には、後肢を自分で屈曲させるなどの神経学的改善もみられた。

【結果・考察】

今回の症例に関しては、術後食欲の回復や後肢の神経学的改善から外科的な整復および固定は非常に良好な結果が得られたと思われる。

しかし、体温の低下・呼吸状態の不安定など症状がみられる症例に関しての入院管理について考えなければならないと強く感じた。

 


 

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