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やどり木カンファレンス

副腎皮質機能低下症と糖尿病を併発した犬の1例

2007年3月

高木勝久 山口恭寛 徳留史子 弓削田直子 山村穂積

【概要】

8ヶ月齢のノーフォークテリア、未非妊雌が元気消失、嘔吐頻回、食欲減退、傾眠傾向を主訴に来院した。各種検査にて副腎皮質機能低下症と診断し、治療を開始したが、第93病日において糖尿病が顕在化した。

【症例】

ノーフォークテリア、8ヶ月齢、雌(未非妊)、ワクチン接種済。
元気消失、嘔吐頻回、食欲不振、傾眠傾向を主訴に来院する。

【一般身体検査所見

体重2.8kg、体温37.5℃、CRT延長、股動脈圧低下及び四肢の冷感、振戦を示す。

【初診時臨床検査所見

  • 血液検査:BUN、Ca、P、Kの上昇、Gluの低下
  • X線検査:肺血管不鮮明化
  • 超音波検査:異常無し

【治療及び経過 1】

初診時、嘔吐、脱水、循環不全を是正するために乳酸リンゲル静脈点滴及びラニチジン2.5mg/kg BID皮下注射、5%グルコース液静脈注射によって治療を開始するが、第6病日において著しい低Na血症、高K血症を示すと共に貧血が顕在化する。ACTH負荷試験を行なった結果、ACTH投与前後共に血中コルチゾール値の低下が見られたため、副腎皮質機能低下症と診断し、フロリネフ0.01mg/kg BID、プレドニゾロン0.22mg/kg BIDで治療を開始する。

【治療及び経過 2

フロリネフ及びプレドニゾロン投与後、嘔吐、食欲不振、貧血等の症状は緩和され、振戦の頻度も低下した。しかしながら、第93病日に於いて、高血糖、尿糖及び尿中KET陽性を示したことから、糖尿病の併発と考え、インスリン治療を開始した。

考察

現段階(第123病日)では低Na血症、高K血症、貧血の改善がされたものの軽度四肢冷感及び振戦が残り、フロリネフ投与量の増加が必要と思われる。
また、低血糖の是正と共に糖尿病が顕在化した。これはステロイドによるインスリン抵抗性により糖尿病が発生した可能性もあるが、本症例に用いた低用量かつ短期間での糖尿病の発生は懐疑的である。ヒトやイヌにおいて副腎皮質機能低下症は他の免疫介在性疾患(ex.原発性甲状腺機能低下症、1型糖尿病、性腺機能不全症)の合併を伴うことが確認されており本症例もその可能性が示唆される。

本症例は12ヶ月齢時点で未だ初回生理が確認されていなく、副腎アンドロゲン欠損に伴う性腺機能の低下症状である可能性もあり、今後の検討が必要とされる。

 


 

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