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やどり木カンファレンス

糖尿病の初期治療について  2007年1月

獣医師 橋本志津

 運動不足や不妊後肥満の動物が増加傾向にあり、一般社会の欧米化や住宅事情などによってこれからも増加する可能性のある犬および猫の糖尿病について、実際治療の開始時注意点やインスリンコントロールの考え方についてまとめた。

 糖尿病の治療や効果判定は煩雑で判断しにくい点があるため、これを1.初期治療の前に知っておきたいこと、2.治療開始から2週目、3.治療開始から3ヶ月目、4.初期治療がうまくいかないとき、5.経口血糖降下薬をつかうとき、に分類して説明した。

 「1.初期治療の前に知っておきたいこと」 では、飼い主へのインフォームドコンセントの内容、インスリンの取り扱い方、インスリン製剤の選び方、投与量の考え方および生物化学的性状、インスリンコントロールの考え方、治療のゴールは3ヵ月後の一般状態の安定化(PU/PDなく、食欲が飢餓状態でなく安定していて、体重が適正であって、元気であること)、について説明した。「2.治療開始から2週目」 では、インスリン治療後血糖曲線を描くにあたり、インスリン効果判定手順の紹介、「3.治療開始から3ヶ月目」では、治療のゴールとゴールに近づく手順についてもう一度説明した。「4.初期治療がうまくいかないとき」では、①飼い主がきちんとインスリン打てていない、②猫がストレスを過度に感じている、獣医がきらい、③治療期間中、コントロールを待つ獣医師の姿勢、④インスリンの投与量が少なすぎる、⑤インスリンの種類を間違えている、⑥インスリンの作用時間が短すぎる、⑦食事療法の内容や種類がいけない、⑧基礎疾患やストレス、感染(膿皮・尿路)、炎症、膵炎、腎不全、⑨インスリンオーバードーズ(特に高血糖気味のとき)、⑩コルチゾール過剰、⑪プロゲステロン過剰、⑫末端巨大症(猫)、褐色細胞腫(犬)、⑬インスリン抗体産生、⑭細胞肥満(レセプターにくっつかない)、などの問題点が考えられるため、これらをチェックリストとして利用することを推奨し、1つ1つの項目について説明を加えた。また、これらのリストは初期治療時でなくても利用できることを付け加えた。「5.経口血糖降下薬をつかうとき」では、現在、猫の糖尿病において治療の可能性が広がる経口血糖降下薬の種類と作用機序、使用の適応について説明した。

 まとめとして、特に①みかけ上のインスリン効果(インスリンオーバードーズ、ソモギー効果など)にだまされないこと、②基礎疾患、現疾患、併発疾患(ストレス、火傷、事故、脱水、腎不全、膵炎、クッシング、肝障害、甲状腺機能亢進症など)にだまされないこと、などを挙げた。
東京都板橋区にある犬と猫を中心に診療・治療している動物病院です。質の高い動物医療を提供できるように努めています。(C) 株式会社 ホズミ ALL RIGHTS RESERVED