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動臨研カンファレンス 進行性脊髄軟化症を疑った1例 2005年4月 岡田みどり・窪田出・山村穂積(Pet Clinic アニホス) 【はじめに】 後駆麻痺を主訴に来院した犬の原因で最も多いのが椎間板ヘルニアです。そして、その中でも3〜6%の犬がこの進行性脊髄軟化症に侵されています。この疾患では広範囲に硬膜外出血およびくも膜下出血がおこり、硬膜外脂肪壊死と動脈・静脈両方の血栓を伴います。本疾患の診断には臨床症状がとても重要であり、犬が抑鬱を示したり、後肢反射の進行性な消失、たとえば膝蓋腱反射や屈筋反射などが進行性に消失することや、皮筋反射の遮断レベルが前方に移動していった場合はこの疾患を疑わなければなりません。本疾患は通常数日以内に呼吸不全により死亡するため、後駆麻痺で来院した症例に対しては、オーナーにその旨をインフォームしておくことが重要です。 【症例】 ミニチュアダックスフンド、未去勢の雄3歳。B. W.:5,78㎏、体温:39. 1℃
MRI検査所見(T2強調矢状断像):1回目のMRI検査と比較すると、頚部脊髄においてかなり高信号を示していた部分がなくなってきていた。
【考察】 本症例は脊髄造影検査で造影ラインの消失が認められ、脊髄が腫脹していた。また、皮筋反射の遮断レベルが上昇していき、脊髄病変が進行しており、MRI検査において広範囲の高信号が認められた。最終的には臨床症状の改善が認められ、また、MRI検査においても高信号だった部分が消失しており、進行が止まったものと考えられた。進行性脊髄軟化症を疑った場合は、ほとんどのケースにおいて進行を確認する前に脊髄造影検査を行うため、その診断が造影検査で行えるということはとても重要なことである。1996年のJULIEらの報告によれば、深部痛覚がない犬において第2腰椎を基準に5椎体以上造影ラインの消失が認められたものは脊髄軟化症が疑われ、予後が悪いとされている。よって、広範囲な脊髄腫脹が疑われた場合は手術はすぐに行わず、経過観察、可能であればMRI検査を行ったほうが良いと我々は考えている。また、本来は病理検査でしか確定診断できるものではないが、本症例のように例外的に進行が止まる場合もあるということがわかった。しかし、ほとんどの場合本疾患は病変が前方に進行して行くと、最終的には呼吸不全に陥り死亡するため、オーナーへのインフォームが重要だと思われる。脊髄軟化症のMRIの報告はないが、MRI検査で脊髄が広範囲に高信号を示し、椎間板ヘルニアが存在すれば、脊髄軟化症の生前診断ができるかもしれない。我々は今後症例を重ね、更なる検討を行っていきたいと考えている。
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