» 医局員名簿
 ┣ 医局獣医師名簿
 ┗ 医局動物看護師名簿

» 研修室
 ┣ 学会誌
 ┣ 各学会・年次大会
 ┣ 小動物専門誌
 ┣ カンファレンス
 ┗ 個人・その他

» 院内日誌

» ペット栄養学教室

» パピークラブ

 

 

 

動臨研カンファレンス

巨大食道を呈した犬の1例 2003年10月

小野田等 岡田みどり 弓削田直子 山村穂積(北川動物病院/東京都)

【はじめに】

 巨大食道とは、食道の全域が拡張するものをいい、先天性または後天性の要因によって引き起こされる。後天性巨大食道は、神経障害、筋障害または神経筋接合部の障害が原因となって発生する。診断には、嘔吐でなく吐出であることを明らかにし、X線検査または造影X線検査によって食道全域における非閉塞性の拡張があることから診断される。今回、我々はCDV感染によって巨大食道を呈し、IBDを併発していた症例に遭遇したので報告する。

【症例】

 ミニチュア ダックスフント、避妊済み雌、6歳。
 5種混合ワクチンを毎年接種。
 既往症として、特発性ホルネル症候群、急性大腸炎および慢性胃炎が診断されていた。主訴は、ほぼ毎日食べたものや白い泡を吐くであった。
 一般検査において、著しい削痩、脱水が認められ、状態悪化が顕著となっていた。単純エックス線検査、造影エックス線検査、内視鏡検査ならびに血液検査を行った。

【臨床検査所見】

 単純エックス線検査所見;胸腔内に食道壁陰影を認め、膀胱に著しい貯尿を認めた。
 造影エックス検査所見;食道全域の拡張を認めた。
 内視鏡検査;食道および胃に炎症所見は得られず、十二指腸に生検によりリンパ球形質細胞性十二指腸炎が診断された。
 血液検査所見;生化学血液検査および全血球計算検査において異常は認めなかった。抗アセチルコリン受容体結合抗体は検出されなかった。
 一方、CDV中和抗体価が960倍を示した。

【治療】

 非経口完全栄養輸液をIVHより行い、消化管運動改善薬を投与した。夜間における吐出が多く見られたため、自宅における立位を指示した。また、十二指腸炎に対して、ステロイド、抗生物質、強肝剤および粘膜保護剤の投与を行った。

【経過】

 吐出は立位によるコントロールが上手くいき頻度が減少した。
 IBDの治療を行うことにより、嘔吐は認められなくなった。それに伴い、一般状態が向上し、体重の増加が認められた。
 しかし、膀胱アトニーから感染性膀胱炎、瞬膜の突出、角膜の潰瘍や眼脂などの自律神経障害が認められたが、眼瞼フラップ、抗生物質点眼により眼病変は良化した。
 現在も巨大食道は依然として存在し、感染性膀胱炎が続いている。

【考察】

 本症例は内視鏡検査によりIBDの存在が明らかとなり、その治療を継続することで良好な反応が得られた。
 食道に炎症が存在せず、巨大食道を呈する原因としてCDV感染が示唆された。CDV中和抗体価の高値、膀胱アトニーの存在、長期に渡った両側眼脂、瞬膜の突出などから、自律神経障害を呈していると考えられた。よって、我々は巨大食道の原因はCDV感染による自律神経障害であり、嘔吐が続き全身状態を低下させていた原因をIBDの存在と考察した。


 

東京都板橋区にある犬と猫を中心に診療・治療している動物病院です。質の高い動物医療を提供できるように努めています。(C) 株式会社 ホズミ ALL RIGHTS RESERVED