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動臨研カンファレンス 犬の後天性重症筋無力症の1例 2003年5月 岡田みどり、阪口貴彦、橋本志津、山村穂積(北川動物病院・東京都) 【はじめに】 イヌの重症筋無力症は骨格筋のニコチン型アセチルコリン受容体に対する自己抗体が神経から筋肉への活動電位の伝達を阻害するために起こる免疫介在性疾患である。この阻害は臨床的には筋肉の虚弱として認められる。この疾患の病態生理や診断、治療法、予後に関してはまだ不明な点が多くある。 【症例】 ジャーマンシェパード、8歳5ヶ月の不妊済みのメス、来院時の体重は25kgであった。4ヵ月前より、下痢を繰り返し、当院受診の1週間前に同症状を示し、某動物病院にて加療中であったが、翌日より嘔吐が認められ、投薬を中止した。その後流涎が認められ、後肢がふらつき、起立困難の状態で転院来院した。初診時の身体検査では体温は39℃呼吸速拍の状態であった。初診時の神経学的検査においては、姿勢反応、脊髄反射は正常、脳神経検査において結膜反射を繰り返しているうちに徐々に低下し、最終的には消失した。初診時の血液検査では白血球が25400/μ�と増加し、生化学検査ではCK値が422IU/�と軽度に上昇していた。抗核抗体検査は陰性であった。胸部レントゲン検査では前胸部に鶏卵大の腫瘤が存在し、巨大食道症が認められた。 【治療及び経過】 治療は、第2病日よりプレドニゾロン(1�/�、i.m)、アモキシシリン(11�/�、p.o、B.I.D)、ミソプロストール(4�/�、p.o、B.I.D)を投与した。第5病日より4〜5歩歩行可能になり、瞬き反射が正常となってきた。第8病日より歩行はほぼ正常歩行となった。第9病日目に日本大学動物病院において、筋電図検査などを行った結果をもとに、後天性重症筋無力症と仮診断し、臭化ピリドスチグミン(1�/�、p.o、B.I.D)を追加した。その後退院させ、自宅にて起立させたままに保定し給餌をした。2週間毎にプレドニゾロンを減量していき、第40病日目に開胸手術を実施し胸腺腫摘出を行った。術後は、食餌を一日4回に分け流動食を給餌した。術後の経過は良好で、術後2週間で退院したが、その2日後の第57病日目、食餌を突出し、流涎が多いとのことで再来院した。第59病日目に食欲低下、発熱を認め、第61病日目にはふらつき始め、呼吸速拍が認められ、第64病日に死亡した。 【考察】 本症例は、臨床症状や免疫療法、抗アセチルコリン薬による治療で反応が良かったこと、反復誘発筋電図検査によって、漸減減少が認められたことより、重症筋無力症と診断した。そして、抗アセチルコリン受容体抗体測定の結果、陰性であったとしても完全にMGは否定はできないということがわかった。
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